「人民元切り上げは万能薬ではない」IMFエコノミスト
2010/02/17

 

国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミスト、オリビエ・ブランシャール氏は15日、新華社記者の単独インタビューに応じ、▽人民元為替レートは中国の問題を考えるうえで正しい方向ではない▽人民元の切り上げは米国にとって有利だが、それで米国のすべての経済問題が解決されるわけではない―と強調した。

ブランシャール氏は、IMFのデータ・モデルでは人民元が20%値上がりすると、アジアの他の新興経済体の通貨も同程度値上がりし、米国の国内総生産(GDP)が1%伸びると指摘、「はっきりしているのは、米経済がこれだけに頼って持続可能な成長を実現することは難しいということだ」と強調した。

近年、西側の一部の国は国内の失業圧力を転嫁するため、矛先を人民元に向け、さまざまな手段で中国に圧力をかけ、切り上げを要求している。ブランシャール氏は以前、人民元の切り上げは万能薬ではないと指摘している。今回の新華社記者のインタビューでも、中国のマクロ政策問題を検討するにあたって「為替ではなく、中国の貯蓄率から始めるべきだ」と改めて強調した。

同氏は次のように考えている。中国の貯蓄率は高すぎる。貯蓄率が高いのは社会保障の不足、コーポレートガバナンス(企業統治)に問題があること、金融投資のルートがスムーズでないことを反映している。実際のところ、対策として中国政府は医療、年金、企業利益分配および金融面の改革措置をとっており、これは中国の内需促進に役立っている。

さらに、政府の措置の実施に伴い、内需の伸びに伴って、経済過熱防止の角度から資源を再調整する必要があり、その中で実行可能な方法の一つが人民元の切り上げであるとの考えを示し、「中国経済の中期的持続可能な成長の実現を期待する中で、われわれは必然的に人民元の切り上げを考える。これは対応する関係にある」と述べた。

同氏はまた次のように指摘した。中国が貯蓄率引き下げの努力をすると同時に、米国は財政赤字を減らさなければならない。無論、現在経済回復段階にあって、米政府は赤字削減と経済成長維持のバランスをとらなければならない。

世界経済の動向について、ブランシャール氏は次のように述べた。後退はすでに終わり、景気は回復しつつある。現在の主要な挑戦(試練)は先進経済体が経済の持続可能な成長を実現することにある。それにはこれらの国がより有効な対応策をとる必要がある。そうしないと世界の他の地域も被害を受けることになる。

(ワシントン2月15日発新華社)