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『私から見る中国』作文コンクール入賞作品抜粋(その一)
2021/07/21

総領事賞(1名)

私から見る中国

古川 繁美

 昨年、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが中国・武漢市で猛威を奮い始め、国際社会の警戒するところとなり、未知の見えざる「敵」との疑心暗鬼なる戦いが始まった。武漢市の人口は約1,100万、東京都を上回る中国の大都市がロックダウンとなり、わずか2週間足らずの速さで1,000病床の病院施設が建設された。

 中国と日本では、当然ながら政治体制は大きく違い、政策決定や政治手法にも隔たりがあろう。中国だからこそできた機動力の結果であり、目標達成へのスピード感に驚くばかりだ。

 昨年2月初め、私はわずかばかりの義援金を持ち、中国駐大阪総領事館を訪ねた。感染阻止と患者対応で混乱する中国、ニュース報道を耳にするたび、自分に何か出来ることはないだろうかと考えた。隣国で起きている不幸な出来事を、決して「他山の石」のように思えなかった。苦しんでいる人、困っている友人に寄り添うことができるのであれば、それは今だろうと思ったのだ。

 総領事館では公務の多忙な中、執務中の(当時)張副総領事と面談ができた。副総領事は「この真心を武漢市の人民に必ず伝えます」と、突然の訪問にも拘らず丁重なる応対を頂いた。

 日中国交の歴史を振り返る時、日本に伝わった文化や習慣、生活様式など、中国から多くの恩恵を受けてきたことがわかる。歴史的に有名な遣唐使、遣隋使の制度がそれらの役割を担い、日本の古来の伝統として醸成され、根づいていったと考えられる。いわば中国は日本にとって恩人の国と言えまいか。自国の歴史を学ぶ際、世界の動向と関連づけはするが、往々にして客観的な視点から、俯瞰して学ぶことは少ないように思う。

 日本が困難に直面した時、隣国・中国の友人が寄り添うように、私たち日本に手を差し伸べてくれた事実がある。

 一例として、中国国家京劇院を設立した梅蘭芳氏は、1923年関東大震災で東京が壊滅状態になった時、北京でチャリティー公演を行い、収益金のすべてを震災復興へと届けてくださった。また東西冷戦のさなか、1956年周恩来氏の要請による日本公演で、広島の原爆被害者救済のためのチャリティー公演を行った。あえて学ぶ場がなければ、知る機会は少ない。相互理解とは、互いに理解を深めあおうと、互いの努力を惜しまないことから始まると思う。

 2011年3月、東北地方を襲った巨大地震と津波は、多くの尊い人命を奪い、甚大な被害をもたらした。この時にも中国からは、犠牲者への深い哀悼の意とともに、いち早く震災復興にむけ多くの救援物資が届けられた。当時、温家宝(元)総理自身も、宮城・福島の被災地に入り、被災者を見舞われたのだ。

 逆に、中国・四川大地震が発生した際には、日本からは四川の被災地へ緊急援助隊が派遣され、人命救助・医療活動にあたり、救援物資を届けている。

 中国の古言に「人と交わるには心で交われ樹に注ぐには根に注げ」とある。心を大事にし人の心をとらえることだと。真心の発露は行動となって表れる時、必ず相手の心に響く。かつて周恩来氏が日中友好について言葉を残されている。それは「民衆と民衆が心から理解し合い、信頼し合う関係になってこそ、本当の中日友好は成る」と。

 私はこれからの更なる日中の友好関係促進のためには、より客観的な眼を培うことが必要と思う。要するに長い眼で見ることだ。もし一部マスコミによって悪意ある情報が流されたり、偏見、虚像によって事実がねじ曲げられたとしても、真実を見抜くことさえできれば大丈夫だ。この判断基準となるものこそ、人類の普遍的価値をなすものであり、民衆の希求する平和への理念であろう。決して憶測や近視眼的な見方で捉えたり、政治的立場を混同した見方は避けるべきではないだろうか。

 米国・バイデン大統領の呼びかけで「気候変動サミット2021」がオンラインで開催された。これには二酸化炭素の主要排出国17か国の代表が参加した。参加各国の首脳からは2030年に向けた温室効果ガス削減目標が表明され、世界の共通認識として、脱炭素社会に向けた具体的行動が語られた。気候変動は地球上の危機としてどの国にも責任が伴うテーマだ。

 中国からは習近平・国家主席が参加したが、化石燃料への依存度が高い中国にとって、今後の責任ある対応策の実行を国際社会は注目している。

 私は、自国の利益優先という考えを回避し、世界の国々がより広い視野に立ち普遍的価値観を共有するならば、決して不可能ではないと信じる。信頼の原則という強固な基盤を軸に対話する時、おのずと解決策が見えてくるのではないだろうか。

 「山川異域風月同天」との中国詩がある。私たちは地球上の何処にいても、同じ天を仰ぎ、同じ風を感じている。中国と日本は、将来に亘って相互信頼・相互理解のパートナーでありたいと願っている。

 
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