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『私から見る中国』作文コンクール入賞作品抜粋(その五)
2021/07/25

三等賞(4名)

私から見る中国

佐々木浩二

 現在、私は立命館大学が北京大学と共同で設置した立命館孔子学院で働いています。日頃、中国語教育と中国文化の紹介事業を展開しており、これまでに多くの受講者を迎えてきました。また、短期、長期の奨学金留学制度により、多くの大学生等が中国で学ぶ支援をしてきました。孔子学院として、日中の相互理解や交流に果たしてきた役割は非常に大きいものと自負しています。

 実際に中国に行くことで、その広大さに圧倒され、猛烈な経済的発展や接客時のサービス向上、キャッシュレス化の現状に驚き、中国の方々と交流する中で文化や考え方の違いはありつつも理解し合えることが多いと実感しています。

 ところで、中国や孔子学院に対して主に政治的な意図により、様々な批判や攻撃が行われています。その点について、いくつか私見を述べます。

 中国への批判や攻撃は、主に中国の経済発展により自国の経済等が脅かされることへの危機感から生じていると思います。また米国や日本とは政治体制が違うので、不信感もあるように思います。特に日米のマスコミは中国のほんの一部の、しかも否定的な内容ばかり報道するので、かなり偏った悪影響を広げていると思います。

 孔子学院に対する批判報道では、①孔子学院はスパイ機関である、②孔子学院は中国のプロパガンダ機関であり、中国の価値観を押し付けるものである、③他国の教育を歪めるものである、④米国政府は問題のある孔子学院閉鎖を強く求め、他の国々でも閉鎖の連鎖が広がっている、⑤日本も孔子学院を閉鎖すべきである等々と報道され、ごく少数の人からの抗議電話もありました。しかし、①はエビデンスも無く、私の知る限りではスパイ機関だとして訴追された孔子学院はありません。②は日本も含めてほとんどの国が自国の言語・文化を普及するための機関を設置しているので、それらと基本的には変わりません。孔子学院の場合、現地の大学等と中国の大学が共同して設置している点がユニークです。しかし「プロパガンダだ」と声高に主張しているような政治的な意図による宣伝活動をしている実態は皆無です。③米国の報道では、ある大学で中国政府の意向に沿った偏った教育をしているようなことが言われていましたが、2019年2月に米国政府監査院が90の孔子学院を調査した報告書によれば、そうした指摘を裏付ける証拠は一切有りませんでした。日本でも、孔子学院の中国語講座受講生がSNSで、「授業ではそうした政治的な内容は一切ない。スパイ機関だなどというのは荒唐無稽な指摘だ」という趣旨のコメントを発信しています。④については、「米国民に低コストで中国語教育を提供し、文化的理解を向上させるという価値を認識すべきだ」との反論もあり、閉鎖を強要する姿勢こそ問題だと考えます。各孔子学院が閉鎖すること自体は、それぞれの大学等の事情で判断することなので、特に問題ではありません。むしろニーズがあるところまで一斉に閉鎖せよというのは横暴でしょう。⑤は日本国内にある孔子学院も各大学の判断により設置されています。閉鎖するにしてもスパイ疑惑や中国の価値観の押しつけといった理由ではありません。そもそも、日本国内においては政府からも一切問題視されていません。批判に値するエビデンスも無く、事実の検証も無く、予め設定したシナリオに沿って報道するマスコミの姿勢が問われます。良識あるマスコミには、是非客観的な立場で孔子学院の取り組みを評価して頂きたいと考えます。

 米国や日本の報道姿勢は、意図的に中国の「粗探し」をしているように見えます。他国の内政に干渉し過ぎではないかと思う点もあります。報道内容の偏りや情報の少なさもありますが、いったいどうなっているのか、モヤモヤとしていることも多くあります。しかし、感情的に批判したりヘイトスピーチ的に攻撃したりするのではなく、歴史的な事実や人口の規模、民族構成の違いも踏まえて、冷静かつ真摯に語り合い、理解し合うことがとても大切だと思います。実際、56の民族、約14億人を抱える中国が、ここ10年、20年の間に経済・社会がもの凄く発展し、農村の「絶対的貧困」状態も克服し、「世界の国際特許出願件数(2019年)」で第1位という水準で最先端の科学技術が発展し、様々な魅力的な起業が行われていることには素直に驚嘆します。中国は魅力満載です。中国から学ぶことがたくさん有ります。これからも孔子学院の取り組みを通して、日中相互理解の促進のために努力したいと考えます。是非一度、立命館孔子学院のホームページをご覧頂き、取り組みに参加頂ければ幸いです。

 
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