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『私から見る中国』作文コンクール入賞作品抜粋(その七)
2021/07/27

三等賞(4名)

私から見る中国

稲垣信

「百聞不如一見(百聞は一見にしかず)」は、今では私の座右の銘になっている。「百聞は一見にしかず」とは、百回人から聞くよりも、たった1度でも自分の目で見たほうが確かだということである。

私が中国と出会ったのは、大学で中国語を履修したことから始まる。大学1年生の春、「北京オリンピックや上海万博、中国語は英語の次に必要な言語だよ。」と先輩から言われ、安易な気持ちで中国語を選んだ。中学・高校から学んできた英語には新鮮味を感じることは無かったが、漢字だけの中国語に親近感が沸き、中国語を身に付けて、中国人の友達を作りたいという気持ちが日に日に高まった。

その気持ちは変わらず、2007年大学1年の冬に上海大学へ短期留学に参加するチャンスを得ることができた。この上海留学経験を機に、中国と今でも繋がることができたのである。

午前は中国語の授業、午後は自由時間という留学スケジュールであった。午後、他の日本人留学生は上海観光に行く中、私は留学前に決意した中国人の友達を作りたいという目標を達成すべく、まず留学先の大学キャンパス内で友達を探そうとしたが、冬休みともあり、同世代の学生と出会う機会はほとんどなかった。そこで、学んだ中国語を日々実践している買い物で接する店員さんに勇気を持って「我们交个朋友好不好?」と話しかけたのがきっかけで初めて中国人の友達ができたのである。

友達になってくれたのは、1人で薬局を任されていた広東省出身の蔡さんだった。私は毎日午前の授業が終わると午後は薬局へ通い、仕事の邪魔をしないように、蔡さんとお客さんとの会話を聞いたり、筆記を中心に学んだ中国語で自分のことやお互いの家族のことや日本と中国の文化について話し合った。あるとき、蔡さんはわざわざ麻辣燙を買ってきて、「私はよく食べるんだよ、食べてみな!」と食文化を教えてくれた。汗が止まらず、辛さに咳き込みながらも美味しさを感じながら食べたのを今でも思い出す。そのお返しに私は、平和への祈りが込められた折り鶴を折って渡したり、一緒に折り鶴を折って友好を深めた。

今でも忘れられないことは、留学最後の日に蔡さんは仕事を午後だけ休み、私を上海の観光地に連れて行ってくれたことである。その夜、私は大学の宿舎で、蔡さんの優しさに涙した。

中国語もろくにしゃべれない見知らぬ日本人留学生を温かく迎え入れ、友達にもなってくれ、ましてや仕事を半日休んでまでも観光地に連れていってくれた蔡さんの優しさは一生忘れることができない。蔡さんとの出会いが、私の日中友好活動の根源となっている。

現在、私は蔡さんと同じ社会人になり、人生の先輩であり、社会人としても先輩である蔡さんにしてもらった恩を返す意味もこめて、私は神奈川県日中友好協会青年学生部会(チャイ華)に所属している。

チャイ華では、日中友好イベントの企画・運営を行い、神奈川県に留学や仕事で来日している中国人や中国に興味関心を持っている日本人に参加してもらい、日中の相互理解と日中友好を深める活動を行っている。

日中両国の仲間たちでオンライン開催した「日中怪談発表会」では、“怪談”を切り口に日本と中国での恐怖の違いや文化の違いを理解した。参加した日本人・中国人の青年が日本と中国の文化の違いを理解し、認め合っているのをみると、上海留学で自分が経験したことを思い出した。それと同時にもっと多くの日本人に中国をステレオタイプな見方を一度外し、色々な形で日中友好について知ってもらったり、考えてもらいたいと強く感じた。

私にとって中国とは、蔡さんという1人の人間である。人口十三億の多民族国家であり、広大な国土を擁し、世界の政治、経済を動かす主要国である中国の全体像をとらえるのは大変難しいことだが、1人の人間(中国人・日本人)との交流から中国・日本を理解することが大切だと実感している。

 
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